高校生活が始まって、1週間が経ったぐらいだった。


英語の時間、自分の好きな事、あるいはものについて英語で説明するという宿題が出た。


提出は全員しないといけないが、授業中に指名された人はその場で読まないといけないから、手を抜かないようにと先生は言った。


この英作文にはワード数に制限がなく、好きな事について好きなだけ書いていうものだったから、なかなか楽しい課題だった。


その宿題が出てから3日後、とうとう提出の日がやってきた。


先生は宣言していた通り、数名の生徒を指名して発表させた。


「では次は…滝沢さんにお願いしようかな。」


はいと返事して、一人の少女が立ち上がった。


祥太郎が可愛いと言っていた子の一人だ。


彼女は前に出ると、嬉しそうに微笑みながら、大きな声で話し始めた。


「I like my little sister very very much!
Her name is Hina.
She is so cute and smart…」


教室に衝撃が走った。


滝沢という女子は、自分の妹について20分以上話した。


それも一度も詰まらず、間違えず、なのに原稿は一切見ていない。


笑顔も崩す事なく、どころか瞳の輝きは増すばかりだ。


流石に先生もひいていた。


俺らがドン引きしたのは言うまでもない。


でも俺はちょっと嬉しかった。


いたよ、すげー面白い生徒。


俺はその日以来、滝沢玲奈という生徒に興味を持った。