それからまた一ヶ月が過ぎた。


俺は大学生になり、友達も出来て、そして可愛い彼女も出来て、とても幸せに過ごしていた。


そんなある日の昼休みである。


「昴ー!!!」


何処からともなく怒りを帯びた声が飛んできた。


「玲奈!
久しぶりだな!」


用件がだいたい分かってる俺は、慌てず、逃げる事もなく玲奈に向き合う。


「誰が人の妹を取っていいと言った!?」


「妃奈にちゃんと告白して、きちんとオーケーの返事をもらって付き合ってるんだ。
別に問題ないだろ?」




俺は3月中に、玲奈に内緒で妃奈と何回か遊んだ。


会う度に募る「好き」っていう気持ちに、俺は卒業式に感じたトキメキが偽りでない事を確認した。


その妃奈が中学に入って、他の男に取られる前に告らなければ…


ここで振られたら諦めるけど、そうでないのにこの恋を終わらせるわけにはいかない。


俺は妃奈の入学式の前日に会って告白した。


「妃奈を幸せにするから…俺と付き合ってくれない?」


指一本触れず、真っ直ぐに正面からぶつけた想いに、妃奈は照れながら頷いてくれた。


「ありがとう。
あたしも…す、昴が、昴が好きです。」





思い出しだけ口角が上がってしまいそうだ。


「こんな状況でニヤニヤするな!
ロリコンのくせに!」


「ロリコン?」


「昴…涼しい顔しながら…」


俺の友達は茶化しながら話にのってくる。


「玲奈だって、そのシスコンは早く直した方がいいぞ!」


「!
誰がシスコンよ!
ロリコンよりマシよ!」


それから俺らのあだ名はロリコンとシスコンになったのだ。


時間は少しかかったが、玲奈は妃奈と俺の仲を認めてくれるようになった。