「嫌、じゃないよ。う、うれしい.....」


だめだ、もう無理、夜久君の顔見れない。

耐えきれなくなって目線を逸らした先に、夜空の青を光が裂いた。


「あっ、流れ星!」


それは真っ直ぐに光が引かれ、一瞬で消えた。

あたし、もしかしたら初めて見たかもしれない。


「ああ、そうだ。それ言うの忘れてた。今日、ふたご座流星群の日なんだ」

「ふたご座流星群?」

「そう、ペルセウス座流星群としぶんぎ座流星群と併せて、最大流星群と呼ばれる大きな流星群なんだ。

今年の極大時刻は夜中だし、月齢も3で月明かりの心配もなくて良い条件が揃ってたんだ。だから、碧海にも見せたくて」

「そうだったんだ。すっごく嬉しい。誘ってくれてありがとう」

「どういたしまして」


もう一度流れるところが見たくて、きょろきょろと夜空を見回す。

するとまた一つ、光が線を描いて消えた。


「あ、今また流れたよ!」


流れた方向を指さして夜久君の方を見ると、嬉しそうな顔をしていた。

それだけで心が、温かくて優しい気持ちでいっぱいになる。

こんな幸せがいつまでも続けばいいのに。

幸せなんて今日の流れ星みたいな一瞬の煌めきなんだろう。

それでも願わずにはいられない。