「で、でも、あたしも先輩達みたいにずるいんだよ! 友達だって自分の気持ち偽って夜久君の傍にいて、友達のフリしてるんだもん」
「誰だって自分の都合の良いように動くのは当然だよ。雪穂は夜久君にとって一番嫌なことはしてない。ステータスで人のこと見てガッカリしたりなんてしないでしょ。
だから、夜久君は雪穂と話してて楽しいって言ってくれたんじゃないの。夜久君が言ってくれたこと信じてみなよ」
"信じてみなよ"
その言葉を頭の中で反芻する。
あたし、夜久君の言葉を信用してなかったのかもしれない。
どこか夢見心地で幻だったんじゃないかとさえ思ってた。
「あたしなんて釣り合わない、じゃなくて雪穂はどうしたいの? このまま友達として過ごして彼女が出来てもなんとも思わない? 後悔したりしない?」
夜久君に彼女が出来たら......?
今は考えてなくても、夜久君はモテるから、夜久君のこと分かってくれる女の子が現れたらその人のことを好きになるかもしれない。
あたしはその時――。
「.....やだ。絶対後悔する」
考えただけで目が熱くなってくる感覚がした。
同時に、浅はかで愚かな自分に嫌気が差した。
夜久君の友達でもいいから、一緒にいたいなんていうのは嘘だ。
本当は拒絶されるのが怖かっただけ。
あたしは夜久君が好きで、彼女としてずっと傍にいたいんだ。


