おんぼろ機械のように働かない思考と、張り付いて開いてくれない目を擦りながらあたしは疑問を口にしていた。


「ほへ、おかーさん、じゃない?」


カクリ、とそれはまるで壊れたロボットのような動きで首を傾げる。


「寝ぼけんのもいい加減にして、ばか雪穂」


心底呆れたと言わんばかりの声が耳に入って、急に現実に引き戻されたような感覚がした。

そして、必死に今の状況を理解しようと加速的に思考が働いていく。

此処はあたしの部屋で、時間は多分あたしが間違って眠りこけてなかったら朝だ。

それも多分7時くらい.......。

じゃなくて、待って、あたし寝坊した?

勢いよく傍にあった目覚まし時計を手にしてディスプレイを確認すると、無機質なデジタルの文字で6時56分と書いてあった。


「良かった、寝坊したわけじゃなかった......」


心臓を掴まれたような焦りを感じたのも束の間、ホッと胸を撫で下ろす。

そこで冷静になって、いつもの朝の7時にいるはずのない人物の名前を口にした。


「って、あれ? なんで楓が此処にいるの?」


そう、だって、ここはあたしの家なのだ。

朝は登校中に出会えば一緒に登校するけど、基本的に朝の登校は一人。