待って、そんなことない。
やだ、違う、絶対違うよ、こんなのきっと間違いだ。
だって、認められるわけない。
認めたら後戻り出来なくなってしまう。
溢れそうになる涙と、身体の熱さと、胸の高鳴りで夜久君を見れない。
これ以上優しい言葉を掛けられたら、頭がおかしくなりそう。
お願い、お願いだから、これ以上期待させるようなことを言わないで。
――その時、両頬を包まれて強制的に顔を上げさせられた。
「泣くの我慢するなよ」
それが合図のように熱い雫が流れる感覚がした。
「...ふ、うっ......なんっ、で、我慢してたのに、そういうこと言うの......」
「後で碧海が一人で泣かないようにするため」
「...っ、意地悪だ」
「あいつらはもういないんだから我慢しなくていいだろ。碧海は頑張ったんだから」
違う、違うんだよ。
あたしのこの涙はそんな綺麗なものじゃない。
怖くて泣いたのも確かだし、安心して泣いたのも確か。
だけど、人気者の君に対する恋心を認めてしまったせいだ、なんて言ったら嫌われちゃうかな。
認めたらもう戻れないとしても。
それでも、あたしは夜久君のことが好きなんだよ。
