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「じゃあ、私行くから」
LHRを終えて、一足早く支度を済ませた楓はあたしに手を振る。
「そっか、今日は部活の日か」
「そういうこと。もう少しで完成しそうだからまた見せてあげるよ」
「ほんと? やったー! 楓の絵好きだから楽しみだー」
嬉しくて帰り支度の手を止めて喜ぶと楓も嬉しそうに笑った。
「そう言ってくれる人がいてくれて私は幸せ者だよ」
「ふふっ、部活頑張ってね」
「ありがと。じゃあ、また明日ね」
「うんっ、また明日ー」
手を振って見送ると、楓は足早に教室を出て行った。
あたしは止まっていた手をまた動かして、荷物をリュックに詰め込む。
と言ってもロッカーに教科書は殆ど置きっぱなし状態でリュックの中身に教科書の類はほぼない。
最後に机に何も入っていないか手を突っ込んで確認する。
と、手に当たるものを感じてさっきまでの高揚していた気分が嘘のように沈んだ。
溜息が洩れそうになるのを堪えて、周りの人達が此方を見ていないことを確認すると抜き取ってすぐにリュックに押し込んだ。
それからすぐにファスナーを閉じて、最低限の荷物しか入っていない軽いリュックを担ぐとあたしも教室を出た。
自分の名前の書かれた下駄箱を開いて、手が止まった。
その時、ぞろぞろと動く集団の気配が後ろで止まる。


