昼間天高く昇る太陽の代わりに街には温かな光が灯るそんな頃、私は防寒対策をばっちりして家を出た。


「今日も天気が良くて良かった」


夜になるとやっぱり冷たい初冬の空気を吸って、あたしは昨日と同じ道を歩き出す。

家々の明かりも消えていく12時頃、人が誰もいない静謐な道を歩くのに怖さなんてものはやっぱりない。

それは今日も変わらず煌めく星に心を奪われていたからかもしれない。

それほどに儚く綺麗だった。

今まで気にしたことなかったのに都合がいいなんでものじゃないけど。

少し意識して見るだけで世界は美しいものに溢れている。

丘を登ると、約束をしていた彼は既に寝袋の中で星を眺めていた。


「あ、いた」


あたしの声に反応してゆっくり起き上がり、夜久君は振り返った。

自然と笑みが零れて小さく手を振る。


「えーと、こんばんは、かな?」

「こんばんは、昨日より早いな」

「うん、その方がたくさん星の話を出来るでしょ?」