「だって、具体的に言われると分かんないって言うか、なんていうか」

「なにそれ、意味分かんない」


お手上げというように手を上げて首を傾げる楓にムッとする。


「兎に角、平凡がつまんないの。もっと刺激ある、キラキラした生活したいのー」

「はいはい、なんでそう抽象的なの。ロマンチックなのはいいけど雪穂は小学生? 現実見た方がいいよー。その白紙の紙とか」

「うぐっ、小学生じゃないもん......」


言われたくないことを言われた。

楓が指さす先には進路希望調査書。

まだ1年生なのに将来何になりたいとかどこの大学行きたいとか分かるわけないよ。

そもそもあたしは特筆してやりたいことなんてないんだよ。

だからこそ、そういうもの持ってきらきら輝く人達に憧れる。

あーあ、楓はすごいなあ。

絵が大好きで、コンクールで賞をもらえるほどの実力持っていて、いつも一生懸命頑張ってて、憧れちゃう......。