深い深い安息の海に沈む意識をジリリリと、耳障りな音が妨害する。
鳴りやまない音に邪魔されて、浮上する意識。
まだおぼろげな意識の中、手さぐりで耳障りな音の原因、目覚まし時計を止める。
「んー、ねむい」
7時、それがあたしが起きる時間。
電車通学の子達からしたら遅いかもしれないけど、あたしが選んだ高校は家から一番近い場所にあるおかげでゆっくりと眠る事が出来る。
それにしても、昨日は丘で夜久君と話しこんでいたから眠い。
あれから30分くらい話しこんで、夜中だから危ないと言われて夜久君に家まで送って貰った。
今でもあの有名な夜久君と談笑していたのは夢だったんじゃないかと思う。
でも、寝不足と帰って来て急いで着替えて畳んだ服が置いてあるのを見て、「嗚呼、夢じゃなかったんだ」と実感させられた。
目の前に広がる光景はいつも通りで、見慣れた白いベッドやクローバーの掛け時計、チェックのカーテンにクマのぬいぐるみがある。
それが旅行から帰ってきた次の日みたいな寂しさを感じさせた。