「へへっ…大丈夫。家、近くだから!」 私は渚くんに又1つ嘘をついた。 私の居場所はない。 勿論、家だってこの近くにある訳じゃない。 でも私が一人ぼっちだってことに 気づかれたくなかった。 私には幸せな環境があるんだって… そう思ってほしかった。 これ以上は迷惑かけたくない。 そう思うからこそ 渚くんに甘えられないんだよ…。 「衣乃ちゃんっ…」 「えっ…」 私は渚くんに腕を捕まれて、 思わず後ろを振り返った。 その瞬間、不意に抱き締められた……