そして、こっそりと耳元で 「ありがとう!」 と伝えた。 渚くんは無邪気に笑って私の手を引いた。 「やっぱ衣乃ちゃんは笑ってる方がいいよ。」 たった一言。 それだけなのに嬉しくって…… 私、こんなに単純だったっけ?って そう思わされるくらいに楽しい! 私は渚くんに案内されたベンチで 渚くん達がバスケをしてる姿を見ていた。 「仁っ!パスっ!」 渚くんの頭をくしゃくしゃにしていた男の人は どうやら『仁さん』と言うらしい。 私は渚くんにパスが回った瞬間、 渚くんに目を奪われた気がした。