でも、次に聞いた衣乃の言葉で
俺の手は動かなくなった。
「私、嵩広が好きだから…」
衣乃が俺の胸を押した。
俺はそのせいで一歩後ろに下がった。
嘘だろ………
衣乃が俺を………好き…?
「衣乃っ…!」
衣乃が俺の目の前を走って家を出ていった。
でも、俺には…追いかける足はない。
あるのはただの幼なじみという関係。
曖昧なまま壊れた関係。
俺は椅子に座って、衣乃の作った
フレンチトーストとベーコンエッグに
かじりついた。
「うま………」
アイツ、いつの間にか料理も出来るように
なって、本当に強くなってたんだ…。


