田中はそんな俺の手をそっと取る。 真っ赤な鳥居が暗い闇夜の中でもよく分かる。 階段を全て登り終えて、鳥居をくぐると、少し いったところに大きな木がそびえ立っている。 その木の下に衣乃は眠っていた。 「田河さん…大丈夫なの?」 田中が衣乃に触れようとした。 でも、何でだろう……? 俺が田中のその行動を止めさせてしまった。 「俺が連れて帰るから大丈夫。」 その一言で……。