私は傘を手から滑り落として

嵩広の冷えきったその背中を抱きしめた。


「行かないでよ……
私の知らない嵩広にならないでよ……」


いつも笑ってて……

私をギュッと抱き締めてくれた幼い頃の嵩広。

どんな時も私の味方でいてくれた嵩広…。


ねぇ。

あなたは変わらなくていいんだよ。


私は顔を下に向けた。


すると、嵩広は


「ごめん……」


と言って私の手をそっと払いのけた。


私は思わず嵩広の顔を見た。

やだ……どうしよう……泣きそう……


拒否されたんだ…………。