私は渚くんと別れたその一週間後に

すぐに彼に連絡をとった。


『あの神社の木の下で…』


私が告げたのはたったそれだけだった。

要件も待ち合わせ時間だって言ってない。


それでも彼と私の初めて恋に落ちた場所。


だから、私はここで……

あの日のように木に登って空を見渡している。


「渚くん、もしかしてバスケでもしてたかな?」



私は渚くんのバスケをしてる姿を

想像して少し、ふふっと笑っていると…


「ハァハァ…衣乃ちゃん…」


と木の下から息を切らして私の方を向く

渚くんが私の目に入った。


「おっそーい!」


私は木の上から渚くんに言って、

そのまま飛び降りた。


渚は慌てて、すぐに私を受け止めた。


「衣乃ちゃん…ふざけてるでしょ…」


渚くんは少しため息混じりに

私をそっと地面に下ろした。


私は首を横に振って笑った。


「だって、渚くんなら絶対に
受け止めてくれると思ったから!」


初めてこの木の下で出会った時も

渚くんは私を……抱き締めてくれたから…


「信じていたよ。渚くん。」


あなたは誰よりも一途で優しい人なんだ。