衣乃はポカンとした顔をしたと思えば、

俺の顔を見て、近づいてきた。


そして、俺の頬を両手でそっと触れた。


「嵩広………」



衣乃は自分の鞄から、薄ピンクのハンカチを

取り出して俺の顔にポスッと乗っけた。


俺は驚いて自分の顔に乗せられたハンカチを

手にとった。


すると、何故か俺の頬に涙がこぼれ落ちていた。

俺は思わずそのハンカチで顔を塞ぎ込んだ。


すると、衣乃はクスッと笑って


「嵩広…私より泣き虫じゃない?」


と言って、俺に温かいミルクティーを

投げつけた。