「行くなっ……衣乃っ…………!」


思わず出てしまった言葉。


「俺はお前の事を……好きだから………」


俺を見つめたまま、時が止まったように

衣乃は空気を一瞬で変えた。


渚は驚いたような顔をして、

衣乃から離れて俺の前に出た。


そして、俺の胸ぐらを掴んで

俺をぐっと睨みつけた。


「………ふざけてんのか…嵩広…!」


渚が言いたいことは分かる。

俺は衣乃を一度フッた立場にある。

俺はまた衣乃を傷付けるかもしれない。


だけど、それは渚にも言えること。


「お前、よく衣乃の前に戻ってこられたな。」


衣乃とそっくりなルルに惚れてたくせに。


「意味がわからない。俺は元から
衣乃ちゃんの傍にずっといたんだ!」


渚はなーんにも覚えちゃいねぇ……