「なぁ、衣乃……。仲直りしよう……。
俺……お前と話せねーのつまんねぇ……」
嵩広が私を抱きしめる力を強くした。
ドキドキしてる………
久しぶり感じる嵩広の体温に………。
でも、きっと嵩広の好きは私の好きとは違う。
きっと友達としての好きだよね……。
「嵩広………私……」
この時、私は何て言おうとしたんだろう……
何かを言おうとしたその時、私の後ろから私の
肩の上をくるっと誰かの腕が回り込んで
頭の中の言葉はすぐにかき消えた。
だって…この腕は……
「衣乃ちゃん……迎えに来た。」
この人は……
「駅で待ってたのになかなか
来ないから店の近くまで来たんだ。」
私が一番守りたい人だ………。
「心配で来てみたけど良かった………」
渚くんは私にそっとキスをして、
嵩広の方を向いた。
「変な虫でも付いたら困るしね?」