こんなに大きなお屋敷……

たくさんのメイドや執事。


私にこんなにお金持ちな友達なんていない。

そもそも私にはこんな家に住むお金すらない。


じゃあ誰がこの家の生活費を払って……


「衣乃ちゃん、兄ちゃんのこと忘れたの?」


下から聞こえた小さな声に私は思わず

しゃがんで来夢ちゃんの手を握りしめた。


「そのお兄ちゃんの事、詳しく聞かせて!」


私は来夢ちゃんの目を見て話した。

もしも、私が忘れてしまっているなら…


それは思い出さないといけない大切なこと。