「分かった…っ」
俺は笑って教室に戻った。
田中は相当な変わり者だ。
こんなに…こんなに優しい奴は他にいない。
俺が席につくと
ーーーキーンコーンカーンコーン
とチャイムが鳴って先生が教室に入ってきた。
そして、俺達生徒の出席を確認せずにまず
出席簿を教卓にそっと置いて、前を向いた。
そして、スゥッと息を吸い込んだかと
思えば目を見開いてもう一度、目を閉じた。
そして、先生は口を開いた。
「えー、昨日の夜、ヨル・クーロとルル・鳳・エリトリアが急遽ロシアに帰ることになった。」
皆がポカンとして先生の方を向いていた。
もちろん俺も驚いた。
衣乃を元気付けてくれたヨルと…
渚を命の危機から救ったルルが…
「ロシアに…帰った……」
なにも言わずに帰っていっちまうなんて…。


