俺はそれに振り返りもせず、
田中のかけていった廊下を走り抜けた。
階段の窓から外を見渡すと運動場で
一人たたずむ田中の後ろ姿が見えた。
俺は思わず階段を急いで降りて運動場に出た。
「田中っ……」
もう逃げない。
もうこれ以上この気持ちは押さえきれない。
俺は………
「好きなんでしょ…田河さんの事…」
「えっ……」
田中に言われた言葉で足がピタッと止まった。
すると、田中は俺の方を振り向いて顔を隠した。
「せめて、最後に私を抱き締めてよ…」
田中は唇を噛み締めていた。
何で顔を隠しているのか…
それはきっと……
俺が田中の涙を受け止められないからだ。


