衣乃を傷つけてるのも田中を傷つけてるのも…
全部俺じゃねーか……
俺は思わず田中の腕を掴もうとした。
でも、後ろから手が伸びてきて
俺の腕を掴んだんだ。
「嵩広…もう私、嵩広の優しさに甘えないから。」
衣乃は俺の目を見つめて涙を拭った。
そして、落ちた髪の束を掴んで教室の窓から
放り投げた。
「楓ちゃんを追いかけてこい!」
ニカッと笑う衣乃は一体
何を考えてるんだろうか…
俺は小さく頷いて衣乃の肩を軽く叩いた。
「話つけてくる…」
俺がボソッと言った言葉に衣乃は
どんな顔をしていたんだろうか…?
ただ驚いた様な声が少し
聞こえたのは確かだった。


