衣乃の方を向いてハサミ片手に走り、
そのまま………
ーーーバサッ…
「い……………」
嫌な気がした。
教室にいた皆が思わず振り返り、
衣乃と田中の方を向いて立ち止まった。
「いやぁぁぁあっ……………」
落ちていたのは衣乃の涙と衣乃の…髪。
長い片方にみつあみをしてまとめた髪は
ことごとく無惨に切り落とされた。
田中は笑っていた……
勝ち誇ったように笑っていた。
「田河さん、あなたが悪いのよ?
人の彼氏に手出しなんてするから」
田中は自分が何をしたのか分かっているのか?
田中…何でだよ…!
俺は思わず田中の腕を掴み、田中の頬を叩いた。
「目ぇ覚ませ!田中っ!」


