「だけど愛に飢えていた私はわざとそっくりな顔をした女の子の彼の愛を横取りした。」
ルル様は僕の両手を握りしめたまま、
おでこをその手に近づけて引っ付けた。
「ごめんね……ヨル…。
私、やっぱ弱虫で意気地無しみたい…。」
ルル様の言葉が僕の胸に響いた。
貴方の抱えてきた痛み…僕は知っている。
だから二人で乗り越えよう…
「怖がらないでください。弱虫なんかじゃ
ないです。ルル様は…誰より優しいお方です。」
僕はまた扉を開けてルル様の手を引いて
お屋敷の中へと入っていく。
「ヨルっ…渚の記憶の中の私を消してっ!」
ルル様は僕の後ろで僕の手を
ぎゅっと握りしめた。
僕は小さく笑って後ろを振り返った。
「かしこまりました。ルル様。」
僕はもうルル様から逃げない…


