大きな門を開けて今、目の前に
広がる景色を目に焼き付けた。
この長い長い赤いカーペットの
階段を上りきったところにルル様は…
僕はぐっと拳を握りしめて、
階段をかけ上がった。
あの日…幸せだった……。
あの日幸せで……貴方は泣いていた。
僕はバンッと扉を開いて
ツカツカと中へ進んでいく。
「ちょっとヨルっ!何勝手に入ってきてるの!」
ルル様とそこにいた渚さんは驚いた顔をして、
こちらを振り返った。
僕はそんな事気にせずルル様と渚さんの
側まで近づいて、目の前で立ち止まった。
「ルル様…話があります。」
貴方の愛は…そんなのじゃない。
もっと優しくて…暖かいんだ……。
僕はその暖かさを貰った。
だから人に優しくできる。
僕が貴方に支えた理由は衣乃さんに容姿が
似ていたから…だけどそれだけじゃない。


