それから少しして、


ーーーピーンポーン…


家中が鳴り響いて、1人の執事が

私の方に寄ってきた。


「衣乃さま。ヨル様が来られました。」


執事がそう言った途端、

私は椅子から立ち上がって


「ありがとう。執事さん。」


と笑顔を向けて、玄関へ向かった。


執事は一礼して


「お気をつけて行ってらっしゃいませ。」


と私に声をかけて離れていった。


急いで靴を履いて、外へ出ていくと、そこには

綺麗な顔をして微笑むヨルくんがいた。


「ヨルくん…」


すぐに来てくれたんだ…。


「衣乃さん。待たせてしまってごめん。」


ヨルくんは少し困った顔をして

私に手を差し出した。


私はその手を取って、


「ヨルくん…ありがとう。」


と言ってヨルくんの目を見た。


今日のヨルくん、何か企んでる気がする……。