でも嵩広は驚いた顔をしたと思ったら、
ゆっくりとまぶたを閉じて私をぎゅっと
抱きしてめくれるんだ…。
「だからヨルといたんだな…。今のお前の状況分かってなかったの、俺の方だったわ。ごめん。」
そう言ってよしよしと私の頭を撫でる大きな手
ねぇ…もしも許されるなら
今、君の名前叫んでもいい?
君の心にそっと触れてもいい?
ねぇ…嵩広…?
「今だけは…私を許して…」
私は嵩広の体を自分からそっと離して
そのまま唇に触れるだけのキスをした。
一瞬の出来事に驚いたように嵩広は頬を
真っ赤に染めて私の顔をまじまじと見た。
私はそんな嵩広の顔を見ていられなくて
そのまま嵩広に背を向けて、
門の中へとかけていった。


