「嵩広さん………」


あの人が衣乃さんを連れ去ってしまったのかも

しれないっ……


いいや………もしかしたらっ……


もしかするとだけれど………


僕は背後から感じる恐怖に思わず

ゆっくり足を止めて振り返った。



「ヨル、見ーつけた…」


この感じ……この迫るような圧迫感。

間違いない。


「ルル様……」


ルル様は僕が思わず深々と礼をすると、

嫌な笑顔を見せてニタァーっと笑った。


この顔……きっと今のこの人に逆らったら…

僕の心も僕の夢も死んでしまう…っ!


何かを企む悪魔の顔…。

一体今度は何をなさるつもりなんだ。


僕は唾をゴクンと飲み込んでルル様の

手を取った。