ーーープルルルル……
『ただいま電話に出ることができません。』
僕は耳元から携帯電話をはなして、
携帯をぎゅっと握りしめて走り出した。
どうして電話に出ないんだ…衣乃さん…。
僕が『飲み物を買いにいく』って言って、
衣乃さんのもとを離れた後、
ジュースを買うのに沢山の人が並んでいるのが
見えて、僕は仕方なくそこに並んだ。
30分程時間がかかると思って、衣乃さんに
心配をかけるまいと電話をかけたんだ。
むなしく心に残る静寂が僕を不安にさせた。
「衣乃さん……っ」
僕はもしかしたら大変なことを
してしまったんじゃないかっ……!