そこには……
「えっ……?」
私が見たのは嵩広と楓ちゃんだった。
2人も驚いたような顔を
して私達の方を見ていた。
「お前っ…何でここに?」
嵩広はツカツカと私達に近づいてきた。
楓ちゃんはその後を必死に追いかけていた。
「私はっ……」
言葉が詰まって思わず下を向いた。
何しに来たんだろ…?
渚くんは私の事をすっかり忘れてしまった。
何もかも忘れて幸せになった。
それが悔しくて私は何もかも無くすまいと
必死に幸せの欠片を集めているんだ……。
私がうつ向いていると、ヨルくんが
私の前に立って、嵩広を小さく睨んでいた。
「貴方が衣乃さんをこうしたんだっ!
笑顔を消して不幸にしたのは……嵩広さんだ!」


