「衣乃ちゃんっ…あのね、私ねっ…髪の長いお兄ちゃんが衣乃ちゃんに会わせてあげるって言ってたからここに来たのっ!」
来夢ちゃんは私から離れて、
ニッコリ笑って私の手を引いた。
「それでねっ、お兄ちゃんが私と衣乃ちゃんにこの家で住むように言ったの。」
私は夢中で話す来夢ちゃんに
小さく微笑み返した。
ねぇ、ヨルくん。
どうしてそんなに優しくしてくれるの?
どうして、私と来夢ちゃんの事知ってたの?
今すぐに理由は聞けなくても…
今頼れるのはヨルくんしかいない。
「来夢ちゃん。お兄ちゃんはね、このお家の人なんだよ。でもね、皆には秘密だよっ?」
私は家の扉の前で止まった来夢ちゃんに
ニッコリ笑って言った。
すると、来夢ちゃんも笑って
「うんっ!」
って私の前で元気よく返事をした。