渚くんのいる病院は学校から近くて、
10分ほど歩いたところに立つ大きな病院。
私が自動扉をくぐり抜けて、
受け付けにいくとそこには
見たことのある後ろ姿があった。
「あら…?貴方は……衣乃ちゃん?
こんなところで一体どうしたの?」
そう言ってイタズラっぽく笑うルルさんは
私に軽く手を振った。
「あ…えと。こんにちは。
ルルさんも渚くんのお見舞いに?」
私がへらっと笑って尋ねると、ルルさんは
驚いた顔をして、私の方を向いた。
「渚は貴方の事を覚えてないのよ。」
「えっ……?」
ルルさんはさっきまでの笑顔とは違う
ちょっと怖い顔をして話を続けた。
「会わない方がいいと思うわ。」
ルルさんは私を優しく抱き締めてくれた。
それはきっとルルさんの優しさなんだと思う。
だけど……
「それでも渚くんに…会いたいの…」


