「ねぇ…嵩広。」
「ん…?」
「寝る前に和馬くんと
お父さんお母さんに挨拶させて。」
「ん…」
嵩広は私の方を向いて笑った。
「和兄、父さん母さんも喜ぶよ。」
そう言って笑った。
そして、嵩広の後を着いていき、
和室に上がり、仏壇の前で手を合わせた。
空っぽのお家。
でも、暖かいお家。
「和馬くん、お部屋借りるね。」
私はお線香に火を着けて和馬くんの
部屋へと戻っていった。
ここは愛すべき場所なんだ…。
私はすぐに眠りについた。
けど何でだろう?
今日はいつもよりよく眠れた。
優しい懐かしい香りに包まれて。