私は地面に落としたハンカチを

拾って嵩広の服の裾を掴んだ。


何で笑わないの…?

何で泣かないの…?


ねぇ、何で私に

優しくしてくれるの…?


真っ暗で顔も見えない。

でも分かるんだよ。


「嵩広…何でアンタそんなに強がるの?」


私は嵩広の家の玄関に上がり、

思わず思ったことを口にしてしまった。


すると、嵩広は私の方を向いて

私のおでこにデコピンをした。


「痛っ…もーっ嵩広っ!」


「バーカっ」


私が逃げていく嵩広を追いかけていくと

すぐにリビングにたどり着いた。