私の見つけた王子さま…。

やっと手に入れた…。


貴方の心を………。




ーーーこれは私が日本に来てすぐの話。



日本に来たのは10年ぶりでよく分からなかった

私を案内してくれたのは『ヨル』という

私の執事だった。



「ヨルっ!貴方、日本に随分詳しいのね。」



私は少し感心して彼を見ていた。


でも、ヨルは笑いもしない。

怒りもしない。泣きもしない。


ただ、じっと私の方を向いて、



「ありがとうございます。ルル様。」


と深々と礼をするだけ。


全く面白くない執事だこと。



「ところで、ヨル。私の王子さまは何処なの?」



私は車の中で少し文句を言いながら

真っ暗な空の下で、ヨルに話しかける。