この目に焼き付けていたい……。
君の事を…君との日々を…
君を誰よりも愛してる……。
「衣乃ちゃん…俺ん家帰ろ?」
俺は衣乃ちゃんの手をぎゅっと握り締めて、
まっすぐ前を見た。
真っ暗な空に吸い込まれそうな心。
俺が衣乃ちゃんの方を振り返ろうとした時、
何故か急に体がよろめいて、力が抜けた。
(なんだこれ……?声が出ないっ!)
俺は力が抜けて衣乃ちゃんから手を離し、
そのまま道路の方へ崩れていく……。
ーーーキキーッ!
車の眩しいライトとブレーキ音が聞こえる…
「渚くんっ…!」
衣乃ちゃんが俺に手を
伸ばしたけど届かなかった。
ーーードンッ……
鳴り響いた鈍い音。
それと共に衣乃ちゃんの
泣き声が聞こえた気がした。
「いやぁぁぁぁあーーーっ!!!!!」
そう言って崩れ落ちる衣乃ちゃんの声が……