「帰ろう?」


「………どこに?」


「どこって………俺ん家。」


嵩広が私の手を引いていく。

私は思わずハンカチを落とした。


「ちょっ…何考えてんの!意味わかんない!普通、『そんなことない。』って慰めるでしょっ…」


私が足を止めると嵩広が私の方を振り返った。


「んじゃ、家帰んの?」


私はその言葉に肩をビクッと震わせた。


嵩広はズルい…。


笑わないし、なんか冷たいし、バカだし…

でも誰よりも優しい奴だから……


「行く………。」


断れないじゃん…。