でも、ごめんね……私……


「無くなっちゃった…」


「えっ…?」


嵩広が不思議そうに私の方を見た。

私はハンカチで口を押さえて話を続けた。



「帰るとこ無くなっちゃった…」


「…………」


「私の居場所…無くなっちゃった…」


嵩広が黙りきってしまった。


あきれちゃうでしょ?


自分の席が無くなって寂しいなんて…


お父さんの暖かいご飯とスープが

食べたいだなんて……


「衣乃……」


「何よ…」