俺の家に火は燃え移ってなかったみたいだけど
「何で……」
衣乃がせっかく掴んだ幸せなのに…。
俺がふと衣乃の家の近くに寄り、集まる人の
中に紛れるていると、俺の前で声もあげずに
ただ、悲しそうな顔でその家を見る衣乃がいた。
「衣乃……」
俺は思わず衣乃の隣に行き、声をかけた。
衣乃は何を思ったんだろう…。
ハハッ…て笑ってた。
燃えた家を見て悲しいのに笑ってた…。
消防車のはしごの部分が伸びて、
中にいた来夢ちゃんが助けられた。
そして、来夢ちゃんが地面に着いたとき、
衣乃は来夢ちゃんに向かっていった。
俺も後を追いかけた。
「来夢ちゃんっ…」
衣乃は両手を大きく広げてしゃがんだ。
来夢ちゃんは泣きながら、
衣乃の腕の中に飛び込んだ。