「私は家を失ったんじゃない。これから
新しい居場所を作るんだ。来夢ちゃんと…」
おもちゃ箱の中に詰められて
飽きられたら捨てられる。
私は知ってるから来夢ちゃんには
教えちゃいけない。
そんな悲しい思いさせちゃいけない。
私と嵩広は歩いて、近くの電車にのって、
家に戻ってきた。
「次会うときは又笑えるよね?」
嵩広に私はハンカチを胸に押し付けた。
嵩広は優しく笑って
「あぁ。」
って言って頷いた。
そして、私の前髪にピン止めを付けた。
「もう外すなよ…。これは和馬の…」
嵩広は少し悲しそうな顔をした。
そうだ。
私が嵩広に投げつけたピン止めは嵩広の兄、
和馬くんに貰った唯一の物。
無くしてはいけない…無くせない物。


