俺は連れ去ってしまった……。
涙で溺れるお姫様を…。
「衣乃ちゃんっ…!」
俺が振り返ったとき、
風が吹いて雪がフワッと舞った。
俺が見たお姫様は雪のように溶ける…。
まるで奇跡のような人でした。
「渚くんっ!見てっ!」
衣乃ちゃんが俺を見て笑った。
2人で走りついた先は真っ暗な空に
キラキラ光り、そびえ立つクリスマスツリー。
「クリスマスはほんの少し先だけどね(笑)」
衣乃ちゃんはクリスマスツリーに微笑む。
俺もつられてクリスマスツリーの方を向く。
「綺麗……」
俺はそう言う衣乃ちゃんの首元に
そっと赤いマフラーを着けた。