「何で私が壊したって言わなかったの…?」
私は屋上のフェンスに掴まり、
楓ちゃんに背を向けた。
楓ちゃんはそんな私の隣に来て、
フェンスに掴まり、私をじっと見つめた。
「私が悪いから。田河さんの思い出を台無しにするようなことしちゃったのは私。だから、田河さんは壊したなんて言わなくて良いんだよ?」
楓ちゃんは優しく笑った。
なんでいつもそうなの…?
私を攻め立てないの…?
逆にそれが苦しいよ……
「楓ちゃん、そんなに嵩広に控えめでいるのなら…私、嵩広の事を取っちゃうよ?」
私はわざとそんな意地悪な事を楓ちゃんに突き
つけるけど、楓ちゃんはやっぱり笑っていた。
「田河さんなら良いかな。」
そう言って笑ってた。


