「分かった。とりあえず“先輩”っていうのを抜け」 「そ、それって“好き”だけ言うってこと?」 「そう。その方が緊張しないだろ?」 たしかに、先輩っていう言葉がないだけで気が楽かもしれない。 「じゃあもう一回」 理玖くんのその言葉にきゅっと目をつむる。 “先輩”って言葉に出さなくても、私の心の中では“先輩”という言葉が繰り返されてて。 そのせいか、どうしても緊張してしまう。