「帰っちゃった……」
まるで疾風の如く教室から飛び出して行った莉子ちゃん。
その速さは追いかけるのを忘れてしまうぐらい速かった。
「はぁ……」
充電したばかりなのに、莉子ちゃんに逃げられたせいでテンションは急降下。
練習始まるまでラブラブしようと思ってたのに……。
「バカかお前は。人前であんなことされたら莉子じゃなくても逃げるっつーの」
「……和佐」
聞き慣れた声に振り向けば、やれやれ、と言った表情でこっちへ歩いてくる和佐がいて。
その表情から察するに、莉子ちゃんが教室から飛び出して行ったことについて文句を言い来たらしい。


