南川 久渡、先輩……。 次第に熱くなっていくおでこをそっと指先でなぞりながら、たった今出会ったばかりの人の名前をつむぐ。 久渡先輩の第一印象は、屈託のない笑顔で笑うキラキラしてて不思議な人だった。 『莉子!』 先輩が走り去ったあと、息を切らしながら私の元へとやってきたお兄ちゃん。 お兄ちゃんは、やって来るなり『久渡には近付くな』と険しい顔で迫って来た。 それがあまりにもこわくて、後退しながらコクコクとうなづく私。