「それにしても、“あの”久渡先輩があんなにも甘々になるなんてねぇ……」 「……先輩は元々甘かったよ」 先輩は私と付き合う前から女の子には甘かった。 「んー、それはそうなんだけど、莉子に対しては全然違うじゃん?」 「そう……かな?」 違うかな? 私にはわかんないや。 でも、そうだったら嬉しいかも。 久渡先輩と初めて出会ったのは三ヶ月前。 それは入学式の次の日のことだった。