「……うん。見られたら見られたでダメかも」 「え?」 突然そんなことを言って、私からパッと手を離した先輩。 かと思ったら自分の顔を手で覆って、ふいっとそっぽを向いてしまった。 「先輩?」 どうしたんだろうと先輩を追いかけて顔を覗き込めば、先輩は指の隙間からチラッと私を見て、なぜかため息を一つ。 「先輩、どこか──」 「つかまえた」 「……っ」 抱きしめられてやっと罠だと気づいた私。 そういえば前も似たようなことをされたような……。 私ってば学習能力なさすぎだ。