「──捕まえた」 そう言って、終わりを迎えた私と先輩の追いかけっこ。 先輩は私を壁際に追い詰めると、大きな手で私の両頬を優しく包み込んだ。 「先輩?」 一転した久渡先輩の表情は穏やかで、それでいて優しくて。 焦げ茶色の瞳が、まっすぐ私だけを見つめている。 その澄んだ瞳に自分が映っているということがたまらなく嬉しい。