「先輩」
「ん?」
机にもたれている先輩のシャツのすそをそっと掴んでうつむくと、先輩は膝を折って私の顔をのぞき込んできた。
至近距離で目が合って、それだけで私の心拍数が急上昇する。
「私、先輩以外の人に照れた顔見せません。だから、先輩も他の人に見せないで」
「……っ」
嫉妬心丸出しのその言葉に、すぐ目の前にあった先輩の顔がなぜか一瞬にして消え失せた。
かと思えば、「あー」となにかをこらえるような声が頭上から聞こえてきて。
「せん、ぱい……?」
おそるおそる顔を上げてみると、目元を押さえた先輩が身もだえていた。


